特定看護師は、これからも需要があるのか?
特定行為研修を受けると、どんな働き方ができるのか?
2040年には看護師の仕事はどう変わっているのか?
私のように特定行為研修を受講した看護師や、これから受講を考えている看護師にとって、将来の需要やキャリアは気になるところです。
今後は、よく言われる「2040年問題」に向けて
医療・介護の需要や働き方はより一層変化していくと考えられます。
この記事では、2040年を見据えた時、病院と在宅で特定看護師に期待される役割、そして特定看護師としての働き方やキャリアについて解説します。
特定看護師ってなんだ?

まず、「特定看護師」という言葉について整理です。
厳密には「特定看護師」という国家資格はなくて、
厚生労働省が定める「特定行為研修」を修了した看護師の通称です。
簡単に言うと、「手順書に基づいて特定行為を実施できる」看護師です。
特定行為には、
- 脱水症状に対する輸液による補正
- 人工呼吸器管理に関する行為
- 気管カニューレの交換
- 中心静脈カテーテルの抜去
- 創傷管理に関する行為
- 血糖コントロールに関する薬剤調整
などがあります。

特定行為研修の目的は「医師の仕事を看護師が代わりに行うこと」ではありません。
看護師が患者さんの状態をアセスメントし、必要な医療を判断し、医師と連携しながら適切なタイミングで特定行為を実施することです。
つまり、看護師の専門性をさらに高めるための制度です。
2040年に特定看護師の需要は高まるか?
結論から言えば、私は特定看護師の需要は今後さらに高まると考えています。
その理由は、大きく3つです。
① 高齢化と人口減少
2040年に向けて日本では高齢化が進む一方、医療を支える現役世代は減少します。
つまり、
「医療を必要とする人は増えるのに、医療を提供する人材は限られる」
状況になります。
だからこそ、看護師一人ひとりが持つ専門性を活かし、効率的に医療を提供することが重要になります。
② 医師の働き方改革
医師の業務をすべて医師だけが担うのではなく、
看護師などの専門職へ移していく「タスクシフト/シェア」が進んでいます。
特定行為研修修了者は、その担い手の一つです。

そのためにも看護師の仕事の中で、専門性を必要としない仕事は他職種や看護補助者にタスクシフトしていけると理想的です。現実、これはあまり進んでいる印象はありません…
③ 在宅医療の需要
高齢化が進むと、病院だけではなく、自宅や施設で療養する患者が増えます。
実際、外来通院が困難な患者も増えています。
そうなると「生活の場で医療を提供できる看護師」の存在が貴重です。
特定看護師は、病院だけでなく訪問看護や在宅医療の分野でも活躍しています。
病院で特定看護師に期待することは?

今、特定看護師の活躍の場としてイメージしやすいのは病院です。
① 医師とのタスクシフト/シェア
病院では、医師がすべての患者の状態を確認し、タイムリーに処置を行うことは無理です。
そこで登場するのが特定看護師。
「患者をアセスメントする → 必要な医療を判断する → 手順書に基づいて特定行為を実施する」
医師の負担軽減だけではなく、患者に対して迅速な対応ができるというメリットがここにあります。
② 急変予測・重症化予防
特定看護師の強みは、特定行為の「手技」だけではありません。
むしろ、
「患者の状態を判断する」能力です。

呼吸、循環、意識、検査データなどを総合的に判断し、患者の状態悪化を早期に発見できるように研修されています。
必要に応じて医師へ報告し、治療につなげる。
この能力は、ICUや救急、急性期病棟などで特に活かすことができます。
実際に、患者の状態評価で相談される機会はすごく多いと感じています。
特定看護師の働き方①「病院で専門性を高める」
特定看護師になったからといって、必ず訪問看護などへ転職する必要はありません。
むしろ、現在の病院で特定行為を活用するという働き方は重要です。
例えば、
- ICU
- 救急外来
- 急性期病棟
- 手術室
- HCU
- 外来
- 特定行為センター
などで活動することができます。
病院によっては、特定看護師で「特定行為チーム」「診療看護師的な活動」を行っている施設もあります。

私自身、特定看護師になってから3つの専門チームに所属するようになりました。
今の職場を辞めずに、看護師として専門性を高められることは大きなメリットです。
特定看護師の働き方②「病棟看護師として働く」
特定看護師になったからといって、特定行為だけを行う必要もないと思います。
病棟看護師として患者を受け持ちながら、必要な場面で特定行為を実施する働き方もあります。
私自身、今はこの働き方をしています。

患者の生活や看護問題を理解したうえで医療行為を行えるという、看護師ならではの強みが最大化されるスタイルだと思います。
特定看護師の働き方③「在宅医療・訪問看護」
2040年を考えると、見過ごせないのが在宅領域です。
「病院に行くことが難しい」
「医師がすぐに訪問できない」
という患者もたくさんいます。
特定看護師が患者の状態を確認し、医師と連携して、医療を提供することができるのが魅力です。
例えば、
- 脱水への対応
- 気管カニューレ管理
- 胃ろう管理
- 創傷管理
- 呼吸状態の悪化への対応
- 血糖コントロール
- 終末期患者の状態変化への対応
などです。
在宅では「治療」だけでなく、
「患者がその人らしく生活できるか」
という視点が非常に重要です。
そのため、看護と医療の両方を理解している特定看護師は、今後さらに重要な存在になっていくと予想します。
特定看護師の働き方④「病院と在宅をつなぐ」
今後、さらに重要になるのが、病院と在宅をつなぐ役割です。
「入院中に特定看護師が関わった患者が退院した」
その後、自宅で患者を支えるのは訪問看護師や在宅医療のスタッフです。
「在宅で状態が悪化した場合、また入院する」
このように、
「病院だけ」「在宅だけ」ではなく、患者の生活を中心に医療をつなぐ
働き方です。
このような地域連携の重要性はすでに高まってきています。
特定看護師の働き方⑤「教育・チームづくり」
特定看護師には、現場で特定行為を行う以外にも、後輩看護師への教育も期待されます。
例えば、
- フィジカルアセスメント研修
- 急変対応研修
- 特定行為に関する院内教育
- 臨床推論の教育
- 医師との連携方法の教育
などです。

自分が特定行為を実践し終わりにはなりません。周囲の看護師の臨床判断能力を高める存在になることが求められていると感じます。
2040年に求められる看護師は?
単に「処置ができる人」では済みません…
① アセスメント能力
患者の状態を正確に把握する能力。
② 臨床推論能力
得られた情報から「何が起きているのか」を考える能力。
③ 判断力
今すぐ医師へ報告すべきなのか、経過観察でよいのかを判断する能力。
④ 多職種連携
医師、薬剤師、リハビリ、ケアマネジャー、訪問看護師などと連携する能力。
⑤ 患者・家族への意思決定支援
単に病気を治すだけではなく、「その人がどう生きたいのか」を考える力。

特定看護師は、こうした能力を身につけるためのキャリア選択肢の一つだと思います。
特定看護師=「手技ができる看護師」ではない
患者を観察し、
「この患者は今どういう状態なのか?」
「このまま悪化する可能性はないか?」
「今、何をする必要があるのか?」
を考えられること。
つまり、特定看護師の価値は、
「行為」よりも「判断」にある
と私は考えるようになりました。
まとめ|2040年、特定看護師の働き方はさらに
2040年に向けて、日本の医療は大きく変化していきます。
人口減少、高齢化、医師不足、看護師不足、在宅医療の拡大。
看護師が専門性を発揮することは、これまで以上に重要です。
その中で特定看護師には、
病院では
- 医師とのタスクシフト/シェア
- 急変予測
- 重症化予防
- 特定行為の実践
- 看護師への教育
在宅では
- 訪問看護
- 在宅医療への参画
- 状態悪化への早期対応
- 入院予防
- 病院と在宅の連携
といった役割が期待されます。
「看護師として、もう一段階専門性を高めたい」
「将来的に病院だけではなく、在宅や地域医療でも活躍したい」
という人にとっては、特定看護師はキャリアの選択肢を広げるきっかけになると思います。



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