今月の病棟会、私休みなんだけど…行かなきゃダメかな?
この問題について考えます。
「病棟会」は勤務に関わらず全員が集まることで、
スタッフの共通認識を確認したり、意見交換をするために貴重な場であると言えます。
しかし、看護師は夜勤を含む交代制勤務で働くため
中には、夜勤明けや休みのスタッフもいます。
わざわざ病棟会のために病院まで足を運ぶのは、今時とは言えません。
今回は「病棟会を開催するメリットとデメリット」について、
実際に管理業務を行う立場から感じることをご紹介します。
病棟会の目的と期待できる効果

病棟会は、病棟に勤務する看護師が集まり、情報共有・業務改善・チームビルディングを目的として定期的に行うミーティングのこと。
主に以下のようなテーマで行われることが多いです。
- 日々の業務に関する課題共有
- 医療安全に関する取り組み
- 委員会活動の報告
- チーム医療に関する意見交換
- 看護研究や研修報告の共有
病棟によって名称や頻度に違いはありますが、
共通しているのは「現場の声を拾い、よりよい看護実践につなげる場」であることです。
🟨 交代制勤務だとすれ違いが多い
同じ病棟で働くスタッフであっても、
カレンダー通りに毎日出勤しているわけではありません。
「この人と相談したかった」「みんなの意見を聞きたいんだけど…」
こんな簡単なことでさえ、実現する場がないのが病棟運営の難しさの一つです。
この問題を一発で解消できるのが、「病棟会」です。
病棟会を開催するメリット

🟨 チーム内の情報共有が活性化する
病棟勤務は業務に追われがちで、
スタッフ同士が落ち着いて話す時間が取れないことも多いのが現状です。
あえて病棟会という場を設けることで、
強制的ですが、情報共有の場を作ることができます。
患者ケアの質向上に繋がる細かな工夫や、
申し送りでは拾いきれない現場の課題など、
日々の気づきをチーム全体で共有することは、ミスの防止にもなります。
🟨 意見を発信しやすい雰囲気が生まれる
業務中は上下関係や多忙さから、意見や疑問を口にしづらいことがあります。
病棟会ではあらかじめ議題が用意されていたり、
意見を募る時間があったりすることで、
普段は声を出しにくいスタッフでも発言しやすくなります。

「意見を出し合える空気」が職場に根づくと、職場の風通しが良くなります。
結果的に、働きやすい職場づくりにもつながります。
🟨 業務改善のきっかけになる
病棟会を通して集められた意見や気づきは、業務改善の大きなヒントになります。
たとえば、記録の方法や物品の配置、申し送りのタイミングなど、
日々の小さな「やりづらさ」や「非効率」が病棟会で議題にあがると、
改善案として形になることがあります。
この改善案が実際に導入されると、スタッフの満足度やモチベーションの向上に繋がります。
🟨 教育や人材育成の場として活用できる
「研修報告や勉強会の内容を共有する場」として活用されることがあります。
若手スタッフが主体的に発表したり、
先輩看護師の実践を紹介したりすることで、学び合いの機会が増えます。
「誰かの気づきや学びを、チーム全体の力に変える」
という意味でも、教育的価値が高い場と言えます。
病棟会を開催するデメリット

🟩 時間の確保が難しい
これが最も大きな課題と言えます。
看護師はシフト勤務のため、全員が同じ時間に揃うのは困難です。
業務終了後に開催されることも多く、参加者が負担感を感じます。

私も、若手の頃はその日の仕事が無事に終わればそれでよし!
と考えていたので、病棟会には全く興味がなく、憂鬱に感じていた記憶があります。
準備や進行役を担うスタッフには、
資料作成や議事録の作成などの追加業務が発生し、業務負担が増えることにもなります。
🟩 意見が偏りやすい
活発な議論を期待していても、実際には毎回同じ人しか発言しないという状況もあります。
声の大きい人の意見だけが通ってしまったり、
若手スタッフが発言しづらい雰囲気があると、会としての意義が薄れてしまいます。
進行役や司会者のファシリテーション力が求められる場面であり、
意見が偏らないように配慮が必要です。
🟩 トラブルや対立を生むこともある
意見交換が活発になる反面、価値観や立場の違いから対立が生まれることもあります。
たとえば、業務改善についての提案に対して、
「今さら変える必要があるのか?」「今のままで問題ない」
といった反対意見が出ることもあります。
病棟会は建設的な場であるべきですが、
話し合いの進め方や雰囲気づくりを誤ると、
逆効果になる可能性もあるため注意が必要です。
「価値ある場」にするために

病棟会はうまく機能すれば非常に有益です。
しかし「開催すること」が目的化してしまうと形骸化してしまいます。
🟨 実践可能なちょっとした工夫
- 事前にアンケートで議題を募集する
- 時間を決めて、コンパクトに開催
- パワーポイントなどで視覚的に説明する
- 発言しやすいようにグループワーク形式にする
終了後のフィードバックや、
「今日はこの意見が採用された」という成果の見える化は、継続のモチベーションにつながります。
まとめ
スタッフ一人ひとりの声を拾い、現場をより良くするための貴重な「対話の場」にすることが大切。
メリットがある一方で、時間・労力・人間関係の面での課題もありますが、それらをどう乗り越え、工夫していくかによって、チームの質や職場環境が大きく変わっていきます。
もしあなたの職場でも「なんとなくやっている病棟会」があるなら、一度その目的や進め方を見直してみるのも良いかもしれません。
より良い看護を届けるために、チーム全体で取り組む一歩として、「病棟会の在り方」を考えてみませんか?
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