医師・看護師タスクシフト|なぜ看護師が医行為を行うのか!?

特定看護師

2015年より「看護師特定行為研修」が開始されました。

特定行為研修を修了した看護師は、

「研修修了者(特定看護師)」として厚生労働省に登録されます。

特定看護師は、「手順書」を用いることで、

自らの判断で医行為が行えるようになりました。

実際に特定行為研修を修了し、特定看護師として活動する私の経験も踏まえて、

「なぜ看護師が特定行為を行うのか」について解説します。

🟨 この記事はこんな方におすすめ

  • 特定看護師について知りたい
  • 特定看護師と医師のタスクシフト・シェアを知りたい

今回は以下の内容についてご紹介します。

なぜ今、看護師が医行為をするのか

いずみパパ
いずみパパ

私も、実際に特定看護師になったわけですが、

医師のいる現場で、“なぜ看護師が医行為を行うのか”

の問いに明確な回答が出せずにいました。

🟨 「医師の労働時間」上限規制開始

2024年度より、勤務医には時間外・休日労働時間の上限規制が適応されます。

一般労働者と同程度である960時間(80時間/月)が上限)

医師の過剰な時間外労働が問題視されてきました。

この規制開始により、

医師の仕事を、他職種へタスクシフト・シェアしていく必要があります。

看護師は、医師の周辺業務を広くサポートしています。

そんな看護師に、医師の担う医行為をタスクシフト・シェアするため、

看護師特定行為研修が導入されました。

🟨 看護師の専門性が向上した

近年、看護師の果たす役割がより重要視されています。

多くの役目を果たす看護師の専門性は、一層高まってきていると言えます。

看護師の役割(保助看法)

  • 療養上の世話
  • 診療の補助

そのうち「診療の補助」とは、

医師の指示”により、看護師が行う医行為のことを指します。

いずみパパ
いずみパパ

具体的には、採血や点滴の準備や投与などです。

身近な内容ですが、これらは「診療の補助」に含まれます。

「医師の指示」であれば、大抵のことが診療の補助業務と言えます。

「特定行為」で可能になること

看護師が「やっていいこと」「ダメなこと」の境界は曖昧です。

この曖昧なグレーゾーンを整備し、

その中の「38行為」を「特定行為」と位置付けました。

特定看護師はこの「特定行為」に関しては、

医師に、直接指示を仰ぐことなく、自らの判断で実施が可能となります。

「医師への指示確認」が省略されたことで、患者への対応は圧倒的に早くなります。

病院といえど、その場に医師がいない時間は結構あるものです。

「医師に指示を仰ぐ」一つとっても、時間がかかる場面が多いのが現状です。

🟨 患者のメリット

「なんとかしてほしい!」

という状況に、迅速に対応してもらえるというメリットがあります。

「医師が来るまで待ってください」

といったタイムラグがなくなります。

実際に特定看護師として活動してみて、患者からは

「すぐに対応してくれて助かる」といった反応が得られる場面があります。

いずみパパ
いずみパパ

看護師が「特定行為」を行うことで、

患者の症状改善や苦痛緩和などに効果があると感じます。

🟨 医療者のメリット

看護師にとって、「医師の指示を確認する」のは

はっきり言って負担です。※医師のスケジュールを考慮して連絡を取る必要がある

看護師の業務負担は軽減します。

医師は、「結果報告」だけを受ける形になり、負担は大幅に軽減します。

いずみパパ
いずみパパ

看護師が「特定行為」を行うことは、

医療者にとってもメリットが大きいと言えます。

タスクシフト・シェア 〜ICU〜

いずみパパ
いずみパパ

集中治療部(ICU)で活動する期間が長かったので、ICUでのタスクシフト・シェアについて紹介します。

ICUで治療を受ける患者は、病院の中でも特に重症な患者が対象となります。

患者は、状態の変化が速く、急変リスクが高い方が多いという特徴があります。患者の全身状態を把握して、小さな変化にも迅速に対応することが必要です。

いずみパパ
いずみパパ

患者のそばにいる看護師が、「医師の指示を待たずに対応できる」という特定看護師の強みを発揮できる部署だと感じます。

ICUには、専任の医師が常駐している施設やそうでない施設があります。特に夜間は医師が不在となることもあります。

🟨 特定看護師の活動内容

患者の些細な変化にすぐに対処する

→医師を呼び出すか迷う場面でも、自分で対処できる。

コメディカルスタッフの悩みや迷いを共に考える

→患者の状態変化に、研修で習得した知識を活用して対応を考えたり、必要に応じて特定行為を実施する。

いずみパパ
いずみパパ

医師が不在、他患者の処置をしていて手が離せない場面にはよく遭遇します。

医師に変わって対処することは、タスクシフト・シェアの一つだと感じます。

🟨 ICUで役立つ「特定行為」一覧

  • 経口用気管チューブ又は経鼻用気管チューブの位置の変更
  • 侵襲的陽圧換気の設定の変更
  • 非侵襲的陽圧換気の設定の変更
  • 人工呼吸管理がなされている者に対する鎮静薬の投与量の調整
  • 人工呼吸器からの離脱
  • 気管カニューレの交換
  • 一時的ペースメーカの操作及び管理
  • 一時的ペースメーカリードの抜去
  • 経皮的心肺補助装置の操作及び管理
  • 大動脈内バルーンパンピングからの離脱を行うときの補助の頻度の調整
  • 心嚢ドレーンの抜去
  • 低圧胸腔内持続吸引機の吸引圧の設定及び設定の変更
  • 胸腔ドレーンの抜去
  • 腹腔ドレーンの抜去
  • 中心静脈カテーテルの抜去
  • 末梢留置型中心静脈注射用カテーテルの挿入
  • 創部ドレーンの抜去
  • 直接動脈穿刺法による採血
  • 橈骨動脈ラインの確保
  • 持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調整
  • 脱水症状に対する輸液による補正
  • インスリンの投与量の調整
  • 硬膜外カテーテルによる鎮痛剤の投与及び投与量の調整
  • 持続点滴中のカテコラミンの投与量の調整
  • 持続点滴中のNa、K又はClの投与量の調整
  • 持続点滴中の降圧剤の投与量の調整
  • 持続点滴中の糖質輸液又は電解質輸液の投与量の調整
  • 持続点滴中の利尿剤の投与量の調
いずみパパ
いずみパパ

非常に多くの特定行為が実践可能です。ICUでは特定看護師が増えれば増えるほど、患者へのメリットは大きく、医師とのタスクシフト・シェアによりスムーズなケア提供が可能になります。

おすすめ⤵︎⤵︎

タスクシフト・シェア 〜病棟〜

一般病棟では、患者の状態が安定していることが多く、ICUよりも実施できる特定行為は限定されます。

いずみパパ
いずみパパ

「特定行為の実施」によるタスクシフト・シェアには限界がありますが、部署の特性に合った活動ができると活躍の場が広がります。

その部署の特徴に合った特定行為に絞り医師とタスクシフト・シェアしていく

例①:外科病棟

「ドレーン抜去」や「CVカテーテルの抜去」

例②:循環器病棟

「一時的ペースメーカの操作及び管理」や「一時的ペースメーカリードの抜去」

といった具合です。

いずみパパ
いずみパパ

「この行為(処置)は特定看護師の仕事」と周囲のスタッフに思わせることができたら、それは立派なタスクシフト・シェアと言えるのではないでしょうか。

まとめ

特定看護師へのタスクシフト・シェアは、看護師の「診療の補助」業務を拡大させることに繋がります。

タスクシフト・シェアにより、医師はこれまで以上に患者と丁寧に関わり、医師ならではの仕事に注力する時間を確保することが可能になります。

いずみパパ
いずみパパ

回り回って、看護師が医師に対して曖昧な(判断に迷う)指示を確認したり、追加の業務依頼をする機会が減少することに繋がる可能性があります。

多職種が効率的に連携し、タスクをシェアしていくことで、これまで以上に円滑な医療が提供できるようになればいいですね。

関連記事>> 看護師の強みとは!?多職種連携の注意点

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