「人間関係を良くして、毎日楽しく過ごしたい!」
それを実現するための、重要な要素が「共感」する力です。
今回は、この「共感する力」と「看護師」がどのような関係性にあるのか解説します。
🟨 この記事はこんな方におすすめ
- 看護師に共感する力が必要なのはどうしてか知りたい
- 「共感」にはどんな効果が期待できるのか知りたい
- 共感できない場面での対処方法を知りたい
今回の以下の内容についてご紹介します。
「共感」とはそもそも何か?
はじめに、「共感」について確認します。
- 「相手の感情を理解すること」
- 「相手の感情を自分も同じように感じること」
2つは同じ「共感」という言葉で表現されます。しかし、意味は少し異なりそうです。
【相手の感情を理解すること】
「相手の感情がただ分かる」という「認知的なもの」と捉えることができます。
【相手の感情を自分も同じように感じること】
「相手の感情をあたかも自分も体験している」という「感情的なもの」であると捉えることができます。
少し意味が異なる2つですが、私たちはこの2つを合わせて「共感」と呼んでいます。
つまり、共感とは「他者の感情の理解も含めて、他者と感情を共有すること」と考えることができます。
共感する力とは?
「共感力」という言葉の意味は、みなさんも耳にすることがあるかと思います。
共感力とは「その通りだ」と相手に同調できる力、寄り添える力のことを指しています。
「共感力が高い人」は、相手の喜怒哀楽に寄り添うことができる人と言えます。
これにより相手は、「自分の意見や感情を理解してもらえた」と感じます。これが他者と信頼関係を築く第一歩になります。
看護師には「共感力」が重要
看護師には、共感力が大切だと言われています。
それはなぜでしょうか。
私は現在、特定看護師として働いています。思い返すと、入職時からすでに共感力の重要性について意識していたように思います。
その答えは「看護基礎教育」にありました。
看護師になるためには、大学や専門学校などの養成学校を経て、看護師国家試験に合格する必要があります。
大学や専門学校などで行われる看護基礎教育には、看護師であれば誰もが一度は耳にする「フロレンス・ナイチンゲール」という人物が登場します。
🟨 フロレンス・ナイチンゲール
「近代看護の祖」と言われており、著者「看護覚え書ー看護であること看護でないことー」が看護教育の基礎となる
この中で、ナイチンゲールは「共感」について言及しています。
🟨 看護の仕事について
「他人の感情のただなかへ自己を投入する能力を、これほど必要とする仕事はほかに存在しない」
看護師は「感情労働」と言われるのも、このような背景があるからと言えるでしょう。
つまり、我々看護師は基礎教育の中で当然のことのように、「他者へ共感する力」が大切だと教え込まれているということです。
共感的態度にはどんな効果が期待できる?
看護の分野でも「共感」に関して、多くの研究が行われてきました。
その結果、患者は看護師に対して、
「看護技術」<<「共感する力」
を求めている→ 看護師が共感するほど、患者のストレス、不安、抑うつが軽減する
つまり、看護師の共感的態度には、患者の心理的負担を軽減する効果があるということです。
「共感的態度」が看護師に与える影響
看護師の共感的態度が、患者にポジティブな効果があるということは分かりました。
では反対に、共感的態度が看護師に与える影響はどうでしょうか?
相手に共感する時は、一度自分の感情は横に置き、相手の感情をありのままに受け入れる必要があります。
そのため共感的態度は、共感する側の心理的ストレスを高めてしまう可能性があります。
看護師の共感的態度は、看護師の疲労を高め、バーンアウトにつながるリスクを含んでいます。
その一方で、患者に共感することは、看護師にとって「やりがい」や「満足感」を高める行為でもあります。
看護師には優しい人が多いので、無理をしすぎないことが大切です。
共感できない場面の対処法
訓練された看護師であっても、共感できない場面に遭遇することはあります。相手の価値観が自分とはあまりに異なる場合などです。
看護師は優しい人が多いため、そんな場面に遭遇したときに、相手に共感できない自分を責めてしまう傾向があるようです。
看護師も人間ですから、頑張っても無理なものは無理と割り切ることも大切です。
🟨 共感できない相手への対処方法
✖️:相手に共感できない自分を責める
◎:同僚と協力する
→ 自分以外のスタッフに介入してもらう
全部を1人で抱え込む必要は全くありません。相性もあるので、積極的に支援を求めましょう。
チームで連携し、患者に対して必要な支援が提供できれば何の問題もありません。
まとめ
相手に共感する力が高いことは、良好な人間関係を築くきっかけになります。
医療現場では、看護師が患者に対して共感的姿勢を示すことで、患者の心理的負担を軽減することが期待できます。
一方で共感的姿勢は、看護師の心理的負担を増大させるというリスクも含むため、無理のしすぎには十分注意する必要があると言えるでしょう。
家族や友人であれば話は別ですが、他者に共感することはそんなに簡単なことではありません。
どんな相手に対しても常に共感的な姿勢を求められる看護師は、「感情労働」とも言われます。
時には、自分の身を守るために「その場から離れる」という選択肢を用意しておくと良いのではないでしょうか。
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