特定行為研修を受けた男性看護師が感じた“本当の価値”とは?

特定看護師

これまでにICU(集中治療部)、循環器病棟、心臓血管外科病棟を経験してきました。

看護師となって7年が経過する頃、看護師特定行為研修を受講し、

特定看護師として活動しています。

今回は、「特定行為研修を受けて本当によかったのか?」という問いに対して、

私自身のリアルな経験をもとにご紹介します。

特定行為研修とICU

私は新卒から9年間ICUに勤務してきました。

急性期の最前線では、さまざまな症例を経験し、

命を向き合う緊迫感、迅速な判断の必要性、チーム医療の醍醐味など

多くのやりがいを実感しました。

そんな中、臨床でのスキルを向上させるため特定行為研修を受講しました。

🟨 ICUでは特定行為が重宝される

患者の状態がどんどん変化するICUでは、

患者の変化に合わせて迅速に対応していくことが必要です。

そんな環境では、特定行為研修受講で実践可能になる「特定行為」が有効でした。

  • 人工呼吸器の調整
  • 鎮静剤の調整
  • 循環作動薬の調整
  • 脱水の補正

など有効な特定行為を挙げれば、キリがないと言えるほどです。

まさに特定行為研修を受講した強みを活かせる現場だったと思います。

異動で感じた特定行為研修の“本当の価値”

ICUで意気揚々と特定行為を実践し、

「研修を受講して良かったー」と思っていた矢先、異動となりました。

異動先は、循環器病棟です。

いずみパパ
いずみパパ

一般病棟を経験しないまま、約10年が経とうとしていたので、異動も仕方ないな…という気持ちでした。

🟨 異動して分かった一般病棟の「特定行為」のニーズ

異動先となった病棟には、特定行為研修を修了したスタッフがいなかったこともあり、

特定行為を実践する土壌は全くありませんでした。

たくさんの患者、目まぐるしい業務に追われ、

特定行為とは?の状態。

「これじゃあ、特定行為研修を受講する看護師もいないわけだ…」

と感じたことが印象に残っています。

🟨 特定行為研修=特定行為ではない

研修では、臨床推論やフィジカルアセスメント、薬理や病態整理など

さまざまな科目を修めます。

つまり、看護師としての基礎的な知識量と判断力を伸ばすことができる研修というわけです。

「患者の体調管理」が看護師の仕事であるならば、

それを判断する力を養った看護師の方が、より適切な判断や対応ができるのは明らかです。

特定行為研修を受講した看護師の強みは、ここにあると思います。

🟨 元気そうに見えて元気でない患者

一般病棟にはこんな患者が紛れています。

普通に会話して笑っているから、「大丈夫」と思ったら

有事の際に後手に回ります。

  • 急変予測
  • 急変を回避する介入

が取れることが、一般病棟における研修修了者の強みではないかと考えます。

いくら医行為である特定行為ができるようになっても、

看護師であることには変わりなく、目の前の患者の「療養上の世話」を行うという本質は変わりません

いずみパパ
いずみパパ

時折、研修を受講したスタッフが「医師」のように振る舞う姿を目にします。

研修内容は医師の思考過程を学びますが、それを看護に活かしてこその特定看護師ではないかと感じます。

一般病棟にも特定行為のニーズは存在する

ICUと一般病棟の決定的な違いは、医師の滞在時間だと思います。

一般病棟に異動して感じたことは、「医者がいない」ことです。

医師は、外来や手術、外勤などで、思いのほか病棟に留まりません。

いずみパパ
いずみパパ

「病棟なんだから、医者はいるでしょ」は間違いです。

ここに特定行為のニーズがあります。

「患者に処置(対処)が必要、しかし医師の戻りを待つ」

このタイムラグを埋めることができるのは特定行為研修を受講したスタッフです。

病棟により、入院する患者の特徴が異なるので、一概にこの特定行為が重宝される

とは言い難いですが、病棟に適した特定行為が実践できるのであれば活用しない手はありません。

  • CV抜去
  • 気管カニューレ交換
  • 動脈血採血

このあたりは、どんな病棟でも実践可能で重宝される特定行為ではないでしょうか。

男性看護師が思うキャリア

看護師になってみて分かったことがあります。

それは、「看護師には将来の選択肢が豊富にあること」です。

  • ジェネラリスト
  • スペシャリスト
  • 管理者
  • 専門特化した施設
  • 訪問看護などの在宅支援
  • 開業医・クリニック

ざっと挙げただけでもさまざまな選択肢があります。

勤務している職場で、管理者として昇進を目指すもよし。

専門看護師や認定看護師、特定看護師を目指すもよし。

さまざまな病棟を経験しオールラインダーを目指すもよし。

ライフプランに合わせて働く場所を変えてみるもよし。

何とでもなる最強の資格と言っても過言ではありません。

いずみパパ
いずみパパ

私の場合は、「男なのに看護師」という感覚がなかなか抜けませんでした。まだまだ看護師は女性が圧倒的に多く、認知度も高いのが現状です。

特定行為研修の受講を機に、自分の強みを持てたことで「看護師に性別は関係ない」と思い直すことができました。

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どんな形であれ、自分の仕事に自信を持って働けることが大切だと思います。

自身のキャリアに迷っている方は、

「ひとまず特定行為研修を受講する」というのは結構アリな選択肢だと思います。

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