これまでの看護師の勤務形態は、3交代制が主流でした。
2000年以降、2交代制が普及し始め、現在では2交代制を採用する施設が増えています。
2交代制は3交代制に比べ、いくつかのメリットがあると同時にデメリットも抱えた勤務形態です。
そのデメリットを克服すべく、近年では看護師の夜勤時間を短縮しようとする動きが顕著になってきました。
今回は、そんな2交代制の16時間夜勤と、夜勤時間を短縮させた12時間夜勤の導入を経験した私が、それぞれのメリット、デメリットについて考察します。
🟨 この記事はこんな方におすすめ
- 夜勤業務にストレスを感じている方
- 短時間夜勤の現状に興味のある方
今回は、以下の内容についてご紹介します。
16時間夜勤の特徴
3交代制が主流だった看護師の勤務形態ですが、これにはいくつかの弱点がありました。
- 勤務が不規則で生活リズムが乱れやすい
- 深夜に出退勤する必要がある
勤務が不規則かつ、勤務間隔が短いことでワークライフバランスの確保が難しいという弱点がありました。
それに加えて、看護師の多くは女性のため、深夜に出退勤しなければならない3交代制は負担が大きかったといえます。
これらの特徴は、看護師の離職率にも影響していたと言えます。

これらの課題を解決すべく、2交代制つまり16時間夜勤が導入され始めました。
🟨 16時間夜勤のメリット
- 出勤回数が減り、休息が取りやすい
- 深夜の出退勤がない
2交代制の夜勤は、3交代制の「準夜勤+深夜勤」の2つの勤務を連続して行います。
そのため「出勤回数」が減少し、勤務間インターバルを確保しやすいというメリットがあります。
実際に私も、看護師となって10年間は16時間夜勤を経験してきました。
最初は「16時間」の連続勤務に戸惑いましたが、不思議なもので少しずつ長時間勤務に順応していったことを覚えています。

一方で、当然夜間を含む16時間の連続勤務には弊害も存在します。
🟨 16時間夜勤の弊害
- 身体的/精神的負担が大きい
- 医療ミスのリスクが高まる
- 長期間続けることで健康被害のリスクが高まる
- 睡眠障害やホルモンバランスが崩れやすくなる
16時間夜勤は、これはこれで看護師の負担を増大させることが分かってきました。
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そして徐々に、「夜勤時間をいかに短くするか」というところに視点が移ってきました。
12時間夜勤の特徴

看護師の健康被害を最小限にするためには、どんな勤務形態がいいのか更に検討が続けられました。
🟨 12時間夜勤のメリット
- 健康被害が軽減する
- 患者対応の質が向上する
- ワークライフバランスが確保しやすい
12時間夜勤は、看護師の出勤回数を減らし、深夜の出退勤を回避しつつ、負担を軽減させる可能性があると言えます。
私が経験した、12時間夜勤は「20時出勤、9時退勤(休憩1時間含む)」というものでした。

実際に働いてみると、確かに心身への負担感は軽減されたように感じます。
具体的に、私の経験から言うと
- 患者の消灯時間から出勤となり、勤務開始直後から慌てて仕事をしなくても良い
- 夕方に自宅で家族と過ごすことができる
個人的には、この2点は大きな違いだと思います。
16時間夜勤の場合、出勤のタイミングは夕方です。
患者の夕食前から職場に入るので、出勤ど同時に慌ただしい環境に飛び込むことが分かっていました。そのため、出勤前からストレスを感じていました。そのストレスが軽減されました。
また、プライベートの時間を4時間余分に確保できることは、特に子育て世代にとっては大きな違いです。
家族と夕食を食べ、少しゆっくりしてから出勤することができるため、ワークライフバランスの充実という点では大きく改善したように感じます。
看護の安全性が段違い

16時間夜勤の終盤(明け方)は、眠気と疲労で集中力が大幅に低下します。
夜勤時間が短縮されたことで、明け方の負担感は軽減し、看護の安全性は大幅に高まると言えます。

疲労が蓄積した状態で、丁寧な看護を提供するのは至難の業です。
つまり安全面だけでなく、落ち着いて患者と関わることができるようになることで、看護の質が高まることが期待できるのが12時間夜勤だと感じます。
12時間夜勤導入の課題
夜勤者の立場では、夜勤時間が短縮され、心身の負担も軽減され、良いこと尽くめの12時間夜勤です。
しかし12時間夜勤の導入には、多くの施設が難渋しているのではないでしょうか。
その背景には、解決しなければならない、いくつかの課題が存在するからです。
〈課題1〉もともと夜勤者が担っていた空白の3-4時間をどうするか ※日勤(8-17時)/夜勤(20-9時)
〈課題2〉単純にシフトだけ変更すればうまくいくのか
中でもこの2つの課題は、とても大きな問題です。
🟨 空白の時間を埋める:「17時〜20時」に働くスタッフを確保する
- 遅出勤務者を配置する
- 日勤者の勤務時間を延長する
シンプルに考えれば、この2択に尽きるかと思います。

ただでさえ過酷な日勤を延長したがる看護師はいませんし、
遅出勤務があることでシフトが複雑になり、ワークライフバランスを崩す要因にもなります。
また勤務時間が変更になることで
- 業務スケジュールの調整
- 業務内容の見直し
これらの課題を解決する必要があります。
看護師の勤務時間を変更する場合、誰が(どの勤務者が)どの業務を担うのか、いつ担うのかは大きな問題です。
つまり、単純に看護師の勤務時間や配置だけを変更すればいい、という問題ではないことがお分かりいただけるかと思います。
次は、この課題を解決すべく奮闘したエピソードについてご紹介したいと思います。
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