現代の医療現場では、様々な専門職が連携した「チーム医療」の重要性がより一層高まっています。
医療の高度化は、医療関係者でなくても感じているところだと思います。以前のように、医師だけで医療の大部分を支えることはもはや困難です。
現在のチーム医療では、医師と並んで看護師の役割が非常に重要とされています。
では、看護師はどのような役割を担い、その強みを活かしていく必要があるのでしょうか。
🟨 この記事はこんな方におすすめ
- 現在のチーム医療について知りたい
- 看護師の役割や強みについて知りたい
- 多職種連携で心掛けるポイントを知りたい
今回は、以下の内容をご紹介します。
現在のチーム医療とは
以前までは医師を中心とし、様々な医療職が必要に応じて介入するといったスタイルが主流でした。
しかし、現在の日本では患者が高齢化し、複数の病気を抱えた人が治療の対象となります。
体力の低下した高齢者や、これまで入院して治療していた人も、外来通院で高度治療を受けるようになってきています。社会背景が複雑な患者も多く、各専門職が強みを活かしたサポートが必要です。
🟨 チーム医療
医療に携わる各専門職種が、それぞれの強みを発揮して1人の患者を支援することで、最大の成果をもたらすこと
医師、看護師、薬剤師、リハビリ職種、栄養士など、その他多くの専門職が、各々の専門領域を担当しつつ連携することが重要です。
🟨 チーム医療がもたらす効果
- 疾病の早期発見・回復促進・重症化予防など医療・生活の質の向上
- 医療の効率性の向上による医療従事者の負担軽減
- 医療の標準化・組織化を通じた医療安全の向上
看護師の役割・強みとは
看護師は患者の身の回りの世話をはじめ、点滴や検温、家族支援などにも介入します。
看護師は患者の入院生活において、関わる範囲が広いため、一見すると「何でも屋」に思われがちです。
🟨 保健師助産師看護師法(保助看法)
第五条 この法律において「看護師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者をいう。
つまり、看護師は「療養上の世話」と「診療の補助」という2つの役割があると言えます。
【療養上の世話】
食事や排泄、更衣、清潔の保持、移動、活動と休息、環境整備などの日常生活に対して、病状を観察しながら行う援助のこと。看護師の臨床的判断により実施され、患者が受けている生活行動の制約や制限に対して、自立に向けた援助として行う。
療養上の世話は、看護師の判断によって行われます。
しかし、特に急性期病院などでは手術や薬物療法を行う患者に対して医師が制限を設けることがあります。
【診療の補助業務】
「診療」を行うのは、医師または歯科医師に限定される。看護師は、医師または歯科医師の診療を補助する役割を担う。
例)採血や点滴ルートの確保、薬剤の投与などは診療の補助業務にあたる。
看護師は、「医師または歯科医師の指示のもと」採血や点滴といった診療の補助行為が可能です。指示がない場合は、いくら技術があって必要性を感じたとしても、これらの行為をしてはいけないということになります。
一方で医師・歯科医師の指示があれば、多くの医行為も診療の補助業務と捉えることが可能です。
診療の補助業務の中でも、所定の研修を修了することで看護師でも自立して行えるものがあります。これが「特定行為」です。
「特定行為」については、下記の記事を併せてご覧ください。
関連記事>> 医師・看護師のタスクシフト|なぜ看護師が医行為を行うのか!?
関連記事>> 働きながら特定行為研修|受講動機と大変さ
多職種連携におけるキーワード
多職種連携の場面では、各専門職がそれぞれの強みを意識して連携していくことが重要です。
看護師は、患者の体調管理や、食事、排泄、清潔など患者の生活の細部にまで介入していきます。
医師は病気から患者を診ることに長けています。一方で看護師は患者を「生活」の側面から看ることに長けていると言えます。
その際のキーワードとなるのが「ヘルスプロモーション」です。「健康を増進すること」を指します。
看護とヘルスプロモーション
看護師が適切に介入することで、患者の健康を増進させることが可能です。
ヘルスプロモーションの概念は世界共通です。個人的には、アメリカ看護協会の表現が分かりやすいと感じます。
【日本看護協会】
健康のあらゆるレベルにおいて、個人が健康的に正常な日常生活ができるように援助すること
【アメリカ看護協会】
看護とは、現にある、あるいはこれから起こるであろう健康問題に対する人間の反応を診断し、かつそれに対処すること
患者の日常の様子を知ることから始まり、小さな変化を察知できることが重要です。
具体的には、体調や価値観、未来への望みや不安などを把握しておくことが望ましいと言えます。これらの情報を、連携する他職種と共有することで、多角的な介入を促すことができます。
ベットサイドで得た患者情報を、多職種へ橋渡しができるところが、看護師の最大の強みと言えるのではないでしょうか。
患者の変化を察知した際に、その背景まで考察できたら、より具体的な介入が可能になります。
そのためには、疾患や治療内容、薬剤や医療機器の特徴などを理解しておくことが望ましいと言えます。
学習の機会としては、「看護師特定行為研修」がおすすめです。研修を通じて、これらの内容を基礎から再確認することが可能です。
関連記事>> 特定看護師になる方法|期待される役割について解説
「知識があるから患者を理解できる」と言えます。
しかし、看護師としては「患者を理解するために知識を得る」という考え方が大切ではないかと感じます。
まとめ
現代の医療現場では、各専門職が強みを活かした「チーム医療」が適切に機能することが大切です。
その中でも看護師が果たす役割は重要で、患者を生活の側面から幅広く支援する必要があると言えます。
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