これまでは、「看護師といえば女性」というイメージをありました。しかし、ここ数年で男性看護師が増加し、病院でも日常的にその姿を見るようになってきています。
そこで今回は、男性看護師の需要と実態について解説したいと思います。
🟨 この記事はこんな方におすすめ
- 男性看護師の需要について知りたい
- 男性看護師の実態について知りたい
- 職業選択する上で男性が看護師になるメリットについて知りたい
今回は以下の内容についてご紹介します。
男性看護師の割合
2020年のデータでは、看護師全体に対する男性看護師の割合は約8.1%です。
私が入職した10年程前は、5%程度だった記憶があります。ここ数年で着実に数が増えていると感じます。
私が勤務する総合病院では、1つの病棟に約30名の看護師が配置されています。1病棟に2-3人の男性看護師が配置されているというイメージでしょうか。
男性看護師の需要
男性看護師といっても、日常の業務は女性看護師と基本的には変わりありません。
実際に看護師として働いてみると、「看護師の仕事は体力勝負」と思う部分がたくさんあります。
🟨 看護師に体力が必要な理由
- 基本的に立ち仕事、歩き回る仕事
- 検査や手術等の搬送業務が多い
- 身体的支援の必要な患者が多い
特に、体力が低下した高齢者や手術で安静制限のある患者には、生活上の様々な援助が必要です。
まだまだ女性看護師の割合は9割を占めます。ここまで体力を必要とする仕事を女性が中心となって担っていることに驚きます。
看護師の仕事には、力を必要とする業務が多いことから、今後もさらに男性看護師が重宝されるようになると予測されます。
男性看護師の実態
男性看護師は、女性中心の現場でも男性ならではの強みを活かすことで、活躍することができます。
🟨 男性特有の特徴の活かし方
- 思考過程の違い
- 男性患者への対応
- 高圧的な患者への対応
【思考過程の違い】
男性特有の思考過程として、「結論が欲しい」というものが挙げられます。
医療現場では、さまざまなテーマについて検討する「カンファレンス」が頻繁に開催されます。
よるあるテーマとしては、転倒転落予防、褥瘡(床ずれ)発生予防、退院に向けた支援内容などです。
カンファレンスには、看護師だけで行うものや、多職種で開催するのものがあります。
患者背景は十人十色であり、「正解」と言える答えがないことが特徴です。話の内容が脱線することなく、結論に向かって議論できるところは男性看護師の強みと言えるのではないでしょうか。
【男性患者への対応】
特に男性患者からは、同性ならではの好意的な声が多く聞かれます。
「女性には相談しにくいことも言える」「(下の世話)恥ずかしい気持ちもあるけど、男性ならそこまで気にしなくていいから助かる」といった意見が多いように思います。
患者としても女性看護師に依頼するには抵抗があることも男性看護師ならば頼みやすいということが多々存在するようです。
さらに、移乗や身体を支えて行うリハビリテーション場面では、男性看護師の方が安定するため、特に体の大きな男性患者は安心感を抱きやすいようです。
【高圧的な患者への対応】
患者の中には、高圧的な態度をとる人もいます。特に女性看護師には、暴言や暴力といったことも時折存在します。
男性看護師が対応することで、大きなトラブルを未然に防ぐことができます。特に、相手に合わせて態度を変えるタイプの方には効果的です。
私も実際に、高圧的な態度をとる患者の担当をすることがあります。男性というだけで、比較的話を聞いてもらえたり、こちらの要望を受け入れてもらえたりした経験があります。
女性看護師は特に、高圧的な態度をとる患者には強い抵抗感を抱きやすいです。その点においても、男性看護師がいるということは大切な事のように思います。
男性が看護師になるメリット
まだまだ少数派ではありますが、男性が看護師になるメリットは大きいと感じます。
🟨 男性が看護師になるメリット
- キャリア形成しやすい
- 給料が安定している
- 自分時間の確保がしやすい
【キャリア形成しやすい】
看護師は、約9割が女性看護師で構成されているという大きな特徴があります。
特に、20〜40代の女性看護師は、結婚や出産、育児といったライフイベントに伴い、離職や休職される方が多くなります。
一方で男性看護師は、育児休暇を取得することはあっても、長期にわたり職場から離脱することはほとんどありません。
男性看護師は、職場から離脱しにくい傾向があるため、様々な研修参加や役割が付与されやすいと言えます。これはキャリア形成においては非常に有利な立場であると言えます。
🟨 看護師のキャリア形成
- 専門看護師:大学院に進学し所定のコースを修了する
- 認定看護師:指定の教育機関で所定のコースを修了する
- 特定看護師:指定の教育機関で所定のコースを修了する
- 大学院進学:退職、休職し進学する場合もあるが、働きながら進学も可能
- 看護管理者:組織内で昇格する
これらの資格や役割を取得すると、一般のスタッフと差別化されやすく、看護業務だけでなく組織横断的な活動や研修会の講師といった、異なるフィールドでの活躍が期待できます。
私の体験談
大学院進学と特定看護師、そして管理者という役割を経験しています。役割の取得後、組織横断的な活動や研修会の企画、看護大学での講師といった活動依頼が入るようになりました。男性だけど看護師になるか迷っているという方には、男性看護師には多くの機会が巡ってくるということを知っておいていただきたい思います。
【給料が安定している】
「同じ看護師でも男性の方が給料が高いか?」という質問がよくあります。基本的に性別による給与の格差はありません。
看護師の給与に影響を与えるものは様々な手当てです。家賃手当や通勤手当、夜勤手当や扶養家族の有無など、各種手当ての受給状況が個人の収入に影響しています。
看護師の給料は、国家資格であることや夜勤があることで、同世代のサラリーマンと比較して年収は高くなる傾向にあります。
日本の給与所得者の平均年収は461万円。(男性567万円、女性280万円)
※平均年齢42.9歳(国税庁のデータ参考)
2021年の厚生労働省の発表では、看護師の平均年収は492万円とされています。
「大学病院や総合病院等で夜勤あり」の条件であれば、20代から年収500万以上、30代め年収600万以上を目指すことが可能です。
看護師は夜勤がありますが、収入が安定しているため、男性にも魅力的な職業と言えると思います。
【自分時間が確保しやすい】
看護師は、夜勤があることで生活が不規則になりがちです。これは一見デメリットのようにも感じますが、裏を返せば大きなメリットにもなります。
夜勤の前後は、平日日中の時間が確保できます。自分の希望に合わせて、ゆっくりとショッピングしたり、趣味の時間を確保したりと調整がしやすい時間になります。
子育て世代では、平日の時間は貴重です。子どもが学校で不在であったり、病院を受診させたいと思ってもスケジュールの調整が可能です。
このような働き方は、「規則的に働いて週末に休日が欲しい」という方には不向きかもしれません。
そんな方には、外来勤務や手術室勤務がおすすめです。基本的に夜勤はなく、規則的な働き方が可能です。
自分の希望に合わせて働き方が選べるというところも、看護師の魅力の一つかもしれません。
夜勤について気になる方は、こちらの記事が参考になると思います。参考になれば幸いです。
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